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【万事屋】

2009年09月20日 23:23

銀魂短編小説2008。
銀さんが昔の事を思い出す話。
++++++


――――雨が降ってる。

――――あの時も雨だったな。

――――あれから何年経ったんだろう。

溜息を吐いて、銀時。


●○●○●○●


攘夷戦争が終わったのは6月であった。
戦争が終わる合図と、雨が降ってきたのは同時。
その時白夜叉は、坂田銀時は、雨空を仰いでいた。
ガシャン、という金属音。銀時が刀を手放した。
銀時の荒い息と、刀が落ちた音は、一瞬にして雨の音で消える。
銀時が呟く。
「終わった、終わったよ・・・何もかも」
ポツリ、と。
スッ、と雨が止んだ。通り雨のようだった。雲の切れ間に満月が垣間見える。
銀時は眩しそうに、目を手で隠した。
すると、銀時の背後から足音が聞こえた。銀時は振り向かずとも分かった。
「ヅラか」
「ヅラじゃない、桂だ、銀時。帰るぞ、みんなが待ってる」
「黙れ」
銀時がそこで初めて、桂の方へと振り返る。
「もう少し・・・あとちょっとだけここにいさせてくれ・・・」
ヅラは銀時のいつになく悲しい瞳を見た後、黙って頷き去っていった。

さっきまで綺麗な姿を見せていた満月が、また雲に隠れる。
そして振り出す、雨。しかも今度は雷雨だ。
銀時は気付く。あれ、俺泣いてんの?自分に問いかけ自嘲する。
「泣き方なんて・・・とっくに忘れちまった」
だから、これは涙なんかじゃない。雨、そう雨なんだよ。銀時は自分に言い聞かせた。
ゴロゴロと唸る雷は、銀時の泣き声を包んでいった。


●○●○●○●


「銀さん?・・・・銀さんってば!」
ふと我に返る。目の前には新八の姿。
「何、ボーッとしちゃってんすか!今日の夕飯、銀さんが作る事になってるんですよ!」
新八は、仕事用の席に座る銀時の頭を軽く叩いた。
すると、銀時はゆっくりと新八に目を向ける。そこに神楽もやってきた。
「雨・・・降ってんな、しかも満月だぜ?」
何か思いつかねぇか?、と銀時。新八はしばらく黙って小さく声をあげた。
「あ、・・・・今日って確か、攘夷戦争が終わった日?」
銀時は頷く。神楽は黙って首を傾げていた。
攘夷戦争は、別に体験していなくても聞いた事ならある有名な戦争。
戦った人々の名前だって現代に残る。特に有名なのは。
白夜叉と狂乱の貴公子。銀時と桂である。
「銀ちゃん・・・」
戦争という言葉に神楽も反応する。2人は知っている。銀時が白夜叉だったという事を。
敵どころか仲間までも怖がらせた異名を持った人、という事を。
「銀ちゃん・・・ワタシ達が言うの、とってもおかしい事アル、でも、聞いてほしいヨ」
銀時は神楽に目を向けた。
「戦争は、もう終わったアルヨ、とっくの昔に・・・もう思い出す必要ないネ」
言葉を継ぐように新八も口をひらく。
「確かに大事な日です・・・忘れちゃいけない日です!でも・・・」
新八と神楽は銀時に近寄った。
「銀さんの悲しむ顔なんて僕達見たくありません!」
少しの沈黙。銀時の顔は前髪でよく見えていない。そして、言う。
「あーあ、まさかこんなガキ共に慰められるたぁ、俺もどうかしてんなぁ!」
銀時は勢い良く席から立ち上がると大欠伸をした。
それを見た神楽が意地悪く笑う。
「あ!銀ちゃんもしかして泣いてたアルカ!?泣いてたアルナ!?」
「なーんで泣かなきゃいけねーんだよ!泣き方なんてもう忘れちまったィ!」
パシン、と神楽の頭をはたく銀時。痛ェ!と頭を撫でる神楽は涙目。
「ハッ!お前何泣いちゃってんのォ!?」
「銀さん、その言い方かなりムカつきますよ」
「あ?てめぇの存在の方がかなりムカつくんですけどー!!」
「そうアル、そうアル!だから駄目ガネアルヨ!!」
「えぇ!?何だよ、それ!何なんだよ!!」

銀時は思う。コイツ等と笑ってりゃ、嫌でも泣き方なんて忘れるわな、と。

「おい!お前等!!俺はこれからどうすれば良い?」
その質問に神楽と新八は目を合わせて笑う。そして声を揃えて言う。
「笑ってろ!この天パヤロー!!」
「何で命令形なんですか、コノヤロー!!」
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